2019-01-01から1年間の記事一覧

冬時間のパリ

試写にて。原題は仏語が「DOUBLES VIES(二重生活)」で英語は「NON FICTION」ですが邦題はもっとオサレな感じの、オリヴィエ・アサイヤス監督の最新作。出版社の敏腕編集者と女優の妻、女好きの私小説家と政治家の秘書をしている妻、2組の夫婦の仕事と浮気…

アイリッシュマン

劇場にて。ネトフリでも近々観られるのですが、約3時間半の贅沢かつ芳醇な時間を集中して観ることができて良かった。マフィア世界の笑えない状況で笑えてしまうブラックさと奢れる者も久しからずな人生観に満ち満ちた、デニーロもパチーノもジョー・ペシも…

稽古

特別講習会(合宿)@S県某宿泊施設。しーふーいわく「自分の中にものさしを持つこと。それによって、正しくないものや、ちょっとずれているなというのが分かる」「合気は後の先。今だ、というタイミングで動き出すこと」「僕はみんなにタネを植えてるんだか…

この世界の さらにいくつもの 片隅に

試写にて。「この世界の片隅に」(16)をベースに新たなエピソードを加えた約2時間40分。時間の関係等で割愛されたカットを復活させた的ないわゆるデイレクターズカットではなくそれぞれが完成版というか完全版なのだと納得できる、鎮魂と慈愛の映画。しみじ…

テッド・バンディ

試写にて。シリアルキラーという言葉の語源となり(というのを今回初めて知った)、結局その犯罪の全貌は明かされずじまいの連続猟奇殺人者テッド・バンディの、狂気もここまできわまると実は冤罪なのではと疑問を持たせるほどの虚言癖と女性ファンをキャー…

国家が破産する日

劇場にて。97年のアジア通貨危機で国家破産のがけっぷちに瀕した韓国で、その危機を国民に知らせず大企業を守ることを優先する政府とそのやり口に断固反対する韓国銀行の通貨政策チーム、金融危機を金儲けのチャンスとみて先手をうつ経営サルタント、そして…

ターミネイター:ニュー・フェイト

劇場にて。シュワちゃんとリンダ・ハミルトンの映画だと思っていたらシュワちゃんももちろんメインキャストでありつつそれ以上にサラ・コナーとグレースとダニーの女性3人のドラマで、ターミネイターの襲撃に巻き込まれる被害者の数がものすごくてちょっと…

i(アイ)新聞記者ドキュメント

先日試写にて。彼女の質問に決してまともに答えようとしないばかりかあからさまに毛嫌いし妨害し排除しようとする現官房長官の記者会見で孤軍奮闘する東京新聞の望月衣塑子記者は同名の著作を映画化した「新聞記者」でシム・ウンギョンが演じた主人公のモデ…

フォークロア・シリーズ「母の愛」「TATAMI」

先日東京国際映画祭にて。エリック・クー製作総指揮によるオムニバスホラー6本のうちの2本で、インドネシアのジョコ・アンワル監督による「母の愛」は息子を学校にも入れず2人で暮らす母親がとある屋敷の屋根裏に大勢の子供が隠されているのを発見する、…

マニャニータ

昨日東京国際映画祭にて。ラヴ・ディアス監督の共同脚本ということとすでに観た人の中で賛否両論ありということだけふまえて観まして、なるほど前半はいささか長いなと思ったんですが中盤からぐぐっと引き寄せられていき終盤はかなり感動。長いといってもこ…

ジャスト6.5

先日東京国際映画祭にて。めっちゃめちゃ面白くてお気に入りだったので本日発表の監督賞(サイード・ルスタイ)および最優秀男優賞(ナヴィド・モハマドザデー)の受賞に「だよね!だよね!」とうなずきまくった、警察vs麻薬組織の終わりなき闘いを描く重量…

Sisters

先日東京国際映画祭にて。プラッチャヤー・ピンゲーオ監督による美少女アクションホラーとくれば期待しないわけにはいかないわけで、実際とってもチャーミングな2人のヒロインをひたすら愛でるべき王道の萌え映画でした。もちろんホラー演出も気合が入って…

ペインテッド・バード

東京国際映画祭にて。悪魔の子と呼ばれ行く先々で辛酸をなめつくす少年の過酷な歳月を追体験する169分。パワフルで濃密な映像と物語に圧倒される大傑作。ここは中世かと思うくらい迫害される少年がかろうじて生き延びていく過程でかかわる人間に結果的に不幸…

永遠の散歩

昨日東京国際映画祭にて。ラオス初の女性監督による作品ということしか知らずに観て、ただただ脱帽。過去と現在を行き来するスピリチュアルで土着的でタイトルどおり永遠を感じさせる不思議な物語・・・ざっくりとそんなくらいのアウトラインしか言えなくて…

ファーストフード店の住人たち

こと原題「麥路人」。先日東京国際映画祭にて。近年香港では新進監督と人気スターが組んだ質の高い小品が1つの潮流をなしている感がありますが本作もその1本と言える、「幸福是我」や「一念無明」と通じる社会派映画の秀作。24時間営業のファストフード店…

ひとつの太陽

こと原題「陽光普照」。東京国際映画祭にて。鐘孟宏作品はすごく緻密でそれゆえともすれば作り込みすぎな気がしなくもないという印象を実は持ってまして前作「ゴッドスピード」もイマイチ乗れなかった(許冠文はすごく良かったけど)というのが正直なところ…

チェリーレイン7番地

こと原題「繼園臺七號」。東京国際映画祭にて。反英デモに揺れる67年の香港を舞台にエリート大学生と家庭教師先の美しい母娘との三角関係未満の微妙な心の機微を描く、楊凡監督の全身全霊をかけた(と感じるほどの)美意識と香港愛とエロチシズムにあふれた…

フォックストロット・シックス

東京国際映画祭にて。昨日の「停止」に続き飢餓や独裁政治などモチーフの重なる部分がけっこうあって(ストーリーはまったく別物ですが)本当にこの世界は絶望的な方向にひた走っているのだなと思わされる舞台設定の近未来ディストピア映画。前知識ゼロで見…

停止

東京国際映画祭にて。今年のマイスケジュールはラヴ・ディアス監督の283分の大作でスタート。自分にとってラヴ・ディアス作品は正直にいうと最初は未知との遭遇みたいなところがあって「昔のはじまり」5時間半ノンストップでちょっと自信(?)がついたこと…

高度一万メートルの奇跡

こと原題「中国機長」。2019東京・中国映画週間にて。諸般の事情で今回はこの1本きり(ナタも観たかった。。)なのですが観られて良かった。大満足。実話ならではのパニック感もさりながら期待どおり張涵予が最初から最後まで男前すぎてもう一生ついて行き…

アダムズ・アップル

先日劇場にて。ある教会の世話になることになった仮釈放中のネオナチの男の、自覚的な悪党であるがゆえにどんどん空回りして行く悪党的ふるまいと、牧師を筆頭に同居人たちの無自覚なゆがみっぷりとの不協和音がなんともいえない面白さのシュールでブラック…

ひとよ

試写にて。白石和彌作品は(すべてを観てはいないのもののそれなりに。。)濃厚で過剰で、でも時折ふっとさし込まれる抜け感があってお腹いっぱいだけど胃もたれしないギリギリの線でガッツリ見せ切ってくれるところに信頼をおいておりますが本作もまた。物…

HiGH&LOW THE WORST

劇場にて。このシリーズ映画版しか観てないですがこれまでのマイベスト。最初から最後までエキサイティングでした。もちろんアクション最高。ニッポンの若手男優は壁ドン胸キュン系もまあ一度や二度ならいいけどこうして若いうちにガンガン身体能力を磨きま…

「映画のない映画祭」上映会のお知らせ

かなり日程が迫ってしまいましたが告知です。表題の作品が恒例の「目撃!中国インディペンデント・ドキュメンタリー」にて10月22日に上映されます。詳しくは下記のとおりです。この映画自分はたまたま前回(2017年)の山形国際ドキュメンタリー映画祭で観ま…

テルアビブ・オン・ファイア

昨日試写にて。昨年のベネチア国際映画祭InterFilm部門で作品賞を受賞し東京国際映画祭でも上映されたルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー合作映画。毎日のようにイスラエルとパレスチナ間の検問所を通ってパレスチナ製作のメロドラマの撮影現場に通う…

真実

昨日劇場にて。深くて軽やかで可笑しくて毒があって、メインかサブかにかかわらず登場人物すべてがエレガントで(あっでもイーサン・ホークだけはいい感じに浮いていた。もちろん褒めてます)、さしものジュリエット・ビノシュがつつましやかに一歩ゆずった…

15ミニッツ・ウォー

昨日劇場にて。1976年に仏領ジブチで独立派がスクールバスをジャックし、国境近くの荒野で膠着状態に。子供たちを救うため、狙撃の精鋭5人が密かに送りこまれるが、、。先日観た「エンテベ空港の7日間」に続く実話にもとづく人質救出作戦モノで、とくにこ…

燃えよスーリヤ!!

試写にて。先天的に痛みを感じない主人公スーリヤが祖父のアドバイスでアクション映画を観まくる中で片足の空手家の百人組手に魅了され、自分もカンフーを極めることを決意する。。ハンディをバネに、というか痛みを感じないのは逆に有利では?と勝手に思っ…

盲目のメロディ インド式殺人協騒曲

試写にて。芸術的理由から盲目を装って活動するピアニストの主人公が、自宅での演奏を依頼された往年のスターの家で殺人現場を目撃してしまい、気づかぬふりを通そうとするが。。。まるで先の読めないブラックでシニカルな極上のスリラー。見事なり。どいつ…

エンテベ空港の7日間

劇場にて。1976年、多数のイスラエル人を乗せたエールフランス機がパレスチナ解放戦線のメンバー2人とそれに同調するドイツの過激派2人、計4人のテロリストにハイジャックされ、テロリストとは交渉しないとの強行姿勢を見せたイスラエル政府が極秘裏に進…