2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ホモ・サピエンスの涙

先日劇場にて。ショートショートのような映像に、しばしば「〜〜を見た」というナレーションが入るほのかに滑稽でひっそりと切ない禅問答のような人生の断片集。その数々を「見た」主体はもしかして神の目線なのか、それとも故マノエル・ド・オリヴェイラ監…

稽古

武器法クラス@I道場。しーふーいわく「納刀は刀を見ながらでなく遠山の目付けで全体を見ながら、いつでもすぐまた抜けるように」「正中線と切っ先と柄頭が常に一直線上にあること」「体を使って心を磨け」

罪の声

先日劇場にて。84~85年にニッポン中を震え上がらせ自分も日々TVや新聞で見ていたグリコ・森永事件がやがて時効になり、迷宮入りしてしまい、いつしか自分の中でも記憶がすっかりうすれていたことそれ自体に軽いショックを覚えてしまった、骨太の犯罪ミステリ…

相撲道 ーサムライを継ぐ者たちー

劇場にて。前半は境川部屋、後半は高田川部屋に肉薄取材したドキュメンタリー。冒頭から見ているこちらが骨折し脳震盪になりそうな、いみじくも妙義龍が「毎日が交通事故」と形容した肉弾相打つ稽古風景のド迫力に一気にひきこまれ、監督のおごりで30数名の…

国葬

劇場にて。53年3月に行われたスターリンの国葬当日の様子を全国各地で撮影しプロパガンダ映画となるはずだったらしいが日の目を見ずのちにウクライナで大量に発見された幻のフィルムが、ベラルーシで生まれウクライナで育ち現在はベルリン在住のセルゲイ・ロ…

海が青くなるまで泳ぐ

こと原題「直游到海水変藍」。FILMEXのオンライン配信にて。趙涛プロデュース、賈樟柯監督による、「文学者たちへのインタビューを通して近代中国のこの70年の変遷を描いたドキュメンタリー」(映画祭公式サイトの紹介文より)。全18章のユニークな構成でつ…

おらおらでひとりいぐも

劇場にて。ふだんあまり前知識なく映画を観ることの多い自分ですがさすがに今回は原作小説を読んでおります。にしてもあのすごい原作が、「せいめいのれきし」か!?と意表をつくアニメや「寂しさ1」とか「どうせ」といった愉快すぎる役名で具現化された脳内…

藁にもすがる獣たち

オンライン試写にて。曽根圭介著の同名小説を原作とし韓国を舞台におきかえた、チョン・ウソン、チョン・ドヨンを筆頭にペ・ソンウ、ユン・ヨジョンら安定感抜群の面々が送るクライム・ミステリー。それぞれの事情でがけっぷちに立たされた男女が大金をめぐ…

夏、至るころ

先日オンライン試写にて。一人は進路を決めて勉強に打ち込み、一人は進路を決めかねてどこかちゅうぶらりん、そんな親友の男子2人の高校最後の夏をおだやかな時間の流れの中で描いた、96年生まれ、池田エライザの監督デビュー作(原案も)。鮮烈でありつつ…

KCIA 南山の部長たち

オンライン試写にて。朴正熙大統領暗殺事件を正面から描き、イ・ビョンホンの百想芸術大賞主演男優賞受賞や次の米アカデミー賞国際長編部門の韓国代表に選ばれるなど期待値抜群の話題作。事実にもとづくフィクション、とのことで偶然とはいえ信長殺害という…

稽古

合気道特別講習会(合宿)にて。半年ぶりくらいにお会いしたしーふーいわく「最初から感覚ではやれない。最初は論理的にやる。それで方向性がわかる。方向性がわかればあとはその方向へ進む。ゆっくりでもいいし早くてもいい」「ストップするところと伸ばす…

ミッション・マンガル 

サブタイトルが「崖っぷちチームの火星打ち上げ計画」。先日試写にて。このサブタイトルでほぼほぼ察しがつくと思いますが(火星を打ち上げる?と一瞬考えるかもですがそれはともかく)アジアで初めて火星探査機の打ち上げに成功したインドが送る実話ベース…

チンパンジー属

先日東京国際映画祭にて。ラヴ・ディアス監督作品は(遅ればせながら)6年前にこの映画祭で約5時間の作品を休憩なしで観てなんとなく自信(?)がついて以来長編はひととおり観てきて、今回は意外にも157分ということでがんばって観終えようという気負いも…

恋唄1980

こと原題「恋曲1980」。先日東京国際映画祭にて。「天安門、恋人たち」など婁燁監督作品の名脚本家として知られ「不成問題的問題(ミスター・ノー・プロブレム)」で監督デビューした梅峰の長編第2作。冒頭、おなじみのドラゴンマークが出なかったのでイン…

陰謀の渦

こと原題「鋌而走険」。先日、2020東京・中国映画週間にて。原題は追い詰められて危険な行動に出るとか破れかぶれになるというような意味で、ギャンブルで借金がかさみにっちもさっちもいかなくなった主人公が盗難車の転売で稼ごうとして幼い少女の誘拐事件…

デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング

英題も同じく「Denise Ho: Becoming the Song」。フィルメックスにて。雨傘革命に加わるなど民主活動家として立場を鮮明にしたことから中国で封殺され芸能界でのキャリアの多くを断たれながらも精力的に発信を続けるデニス・ホー(何韻詩)の半生が描かれる…

悪の絵

こと原題「惡之畫」。東京国際映画祭にて。刑務所で絵の指導をする気鋭の画家(東明相)はある青年(黄河)の画才を高く評価し、なじみの画廊主(劉品言)らの協力をとりつけ受刑囚たちの作品や彼らの肖像画を展示する。だがその青年がかつて社会を震撼させ…

第一炉香

原題同じ。東京国際映画祭にて。張愛玲の原作は未読にてそれをどう許鞍華監督が映画の世界に移し替えたかは今現在評することはできないのですがさだめし原作もにおいたつような(かぐわしさ、青くささ、はかなさ、成熟の果ての腐臭も含めて)愛と業の物語な…

チャンケ:よそ者

こと中文タイトル「醤狗」。東京国際映画祭にて。台湾と韓国のハーフである張智瑋監督による、華僑の父と韓国人の母の間に生まれ韓国で生まれ育った中・韓バイリンガルの主人公をめぐるアイデンティティと家族と恋の物語。監督自身の経験もふまえているらし…

愛しの母国

こと原題「我和我的祖国」。昨日劇場にて。7人の監督による7話オムニバスで、陳凱歌が総監督と1パートの監督をつとめた、タイトルが示すとおりバリバリの愛国映画。先日観た「愛しの故郷」の姉妹編で(本作が姉にあたる)寧浩、徐崢、葛優、黄渤、劉昊然…

弱くて強い女たち

こと原題「孤味」。東京国際映画祭にて。古希を迎えた母と3人の娘が長年音信不通だった夫(父)の死を知るところから始まる、次女役の徐若瑄がプロデュースも兼ねた女性映画。なにやらいろいろこじらせているらしい一家にどんな事情があったのかが少しずつ…

愛しの故郷

こと原題「我和我的家郷」。先日、2020東京・中国映画週間にて。張芸謀監督が総合プロデューサーをつとめた、寧浩、徐崢、陳思誠、鄧超&兪白眉、閻非&彭大魔の7監督5チームによる5話オムニバス。1話ごとにタイトルや出演者を書き出す気力?が今ちょっ…