クーリエ:最高機密の運び屋

一昨日劇場にて。実話ならではの緊迫感と物語後半のB・カンバーバッチの鬼気迫る様相にがつんとやられたこの映画の余韻にひたる間もなくその足で次に「MINAMATA」を観たためまさかの完全にもってかれちゃった感があって本作にちょっと申し訳ない気分になりましたがキューバ危機の裏で命がけの諜報戦に従事した者たちの物語を今ようやく映画を通して知ることができたこと自体に驚き感動すらおぼえる、冷戦期のリアル・サスペンス映画。韓国の「工作 黒金星と呼ばれた男」を思い出させる要素もあってああなってこうなるのかなと安易に予想したりもしましたがもちろん?それとはちがう展開に。。

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グレタ ひとりぼっちの挑戦

本日ちょうど世界気候アクションの日、に合わせてというわけでもないのですが一昨日試写で観たタイミングとほぼ重なりました。15 歳でただ一人ストックホルムの国会議事堂前で気候変動に警鐘をならすストライキを始め、短期間のうちに世界的有名人となったグレタ・トゥーンベリ(現在18歳)の活動を追ったドキュメンタリー。まだまったく無名で、単独でストライキを始めた時期から撮影が行われていたことにちょっと驚き、もしかして親が撮っていたのかと思ったら本作のネイサン・グロスマン監督が友人を介してトゥーンベリ一家と知り合ったことから映画になるかどうか未定のまま撮影を始めたというのをプレスで知って納得。結果的にまるで家族が撮ったかのような親密さと一定の距離感をあわせもつ、一人の稀有な活動家が誕生し注目を集めるにつれマスコミや国際的機関に一種の消費され利用される存在となりはなはだしくはトランプをはじめとする一部の権力者たちから「あの生意気な子どもを黙らせろ」的な攻撃対象になる過程を目の当たりにする作品となっており、気候変動への危機感とその対策を本気でとろうとしない大人たちへの異議申し立てをあくまで知的に強固にあらわしつつその表裏一体のところでガラスのような繊細さをかかえた少女の姿に、アスペルガーというハンディとも強みともいえる側面については本作のテーマではない(あるいはテーマの1つだとしても主要なテーマではない)と思うけれどもそのことが彼女の存在自体をある意味で啓示として世に知らしめたのかもしれないという心持ちも。。

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MINAMATA ーミナマター

劇場にて。「入浴する智子と母」の写真のインパクトは一度見たら忘れない、それを撮った写真家ユージン・スミスの名声も承知していた、けれど水俣病事件が世界に知られ衝撃を与えるに至る経緯については不勉強にして知らなかったので、今さらながらですが深くつきささるものがありました。プロデュースも兼ねたジョニー・デップの新たな金字塔。とともにアイリーン役の美波が目をみはるすばらしさで、ご贔屓ビル・ナイにもしみじみ、そして真田広之加瀬亮國村隼浅野忠信ら英語をあやつる国際派たちの作品選びの確かさに、逆に思うのはニッポンでここまでやれるプロジェクトは成立しないから彼らがきちんと参加してくれたのかも。。ジョニデは本当にいい仕事をしてくれました。実話ベースでありつつそれなりに脚色もされているというのは後付けで知りましたがそれでもこの映画の持つ強く普遍的なメッセージ性をなんらそぐものではないし今もさまざまなかたちで問題は続いているとガチで思わせられます。ぜひヒットしてほしい。

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ハッピー・オールド・フィルムズ2

PFFナワポン・タムロンラタナリット監督特集にて。ナワポン作品はそこそこ見ているものの若干見逃しているのがある中で不覚にも今回これ1本しかフォローできなかったのですがラッキーなまでに大当たり。ナワポンのお母さんとお祖母さんが出演の『タイビデオ短編映画祭オープニング』とか、タイのTOYOTAのCMとか、どれもこれも独特のセンスが光るキレキレの面白さでした。うち1本、ネットいじめへの警告作品「シェアしてくれてありがとう」は前に見ていて、なのにサテどこで見たのだったかと思い出せない頭の老化がかなしい今日このごろ。。

 

スイング・ステート

劇場にて。トランプvsヒラリーの選挙戦でヒラリー@民主党側の選挙参謀として惨敗を喫したゲイリー(スティーヴ・カレル)が、起死回生をねらって共和党民主党の激戦州(=スイング・ステート)であるウィスコンシン州の小さな町の町長選に介入したことからトランプ陣営の参謀だった不倶戴天の敵フェイス(ローズ・バーン)も参戦してマスコミを巻き込んだ代理戦争が勃発、小さな町がてんやわんやに。。アメリカの選挙システムを痛烈に笑いのめし、踊る阿呆に見る阿呆という文言が脳裏をかけめぐるOMGなブラックコメディ。スティーヴ・カレルのあいかわらずの胡散くささに笑わせられつつ、ライバルの綺麗でビッチな選挙屋女子は見覚えがあるなあと思いながらも思い出せずにいたら(すみません)「ピーターラビット」シリーズのヒロイン、ビアでした。キャラがちがいすぎてびっくり、感服。

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弁護士ジョリー

JAIHOにて。あこぎな手を使って独立・開業した弁護士がある痛恨事をきっかけに心を入れ替えていくアクシャイ・クマール主演の法廷劇。だめんずからの再起・奮闘という流れは定石といえば定石ながら警察や法曹界の腐敗がからむ深刻なテーマを扱いつつアクシャイ・クマールならではのヌケ感と安定感は鉄板で、ちょっと香港映画っぽいエンディングのNGシーンまでがっつり楽しめる仕上がりでした。

MONOS モノス

副題が「猿と呼ばれし者たち」。試写にて。以前劇場で予告編を見たときはどんな話なのかまるで分からなくて、でもそれは自分にとっては正解でした。南米のどこかの(あとからプレスを見てコロンビアの内戦がベースになったものと知りました)世間と隔絶した高地で戦闘員として鍛えられ洗脳されモノスと名付けられた若者グループが身代金目当てとおぼしき人質の世話を任されるもある偶発的なトラブルを境にグループ内のバランスがくるっていく、五臓六腑にしみるではなくかきまわされるような緊迫の展開に「ジャッリカットゥ」をところどころで思い出したりもしつつそれとはまた似て非なる弱肉強食の原始的パワーに圧倒される究極のサバイバルドラマ。圧巻!

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