ファーストフード店の住人たち

こと原題「麥路人」。先日東京国際映画祭にて。近年香港では新進監督と人気スターが組んだ質の高い小品が1つの潮流をなしている感がありますが本作もその1本と言える、「幸福是我」や「一念無明」と通じる社会派映画の秀作。24時間営業のファストフード店で夜を過ごす年齢も経歴も様々なホームレスたちの日常を描く、テーマはきわめてシリアスながら、郭富城をはじめキャストの充実ぶりと、ひと昔前の香港映画だったらもっと予定調和的な流れになっていたかもしれないところがそうならない或いはそうなることを慎重に避けたかに思える物語の厚みと味わいにしみじみ。久しぶりに見た萬梓良が一時期のあぶらぎっしゅな感じが抜けて程よく枯れてきて、やっぱりとてもいい役者だなあと。