2020-01-01から1年間の記事一覧

デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング

英題も同じく「Denise Ho: Becoming the Song」。フィルメックスにて。雨傘革命に加わるなど民主活動家として立場を鮮明にしたことから中国で封殺され芸能界でのキャリアの多くを断たれながらも精力的に発信を続けるデニス・ホー(何韻詩)の半生が描かれる…

悪の絵

こと原題「惡之畫」。東京国際映画祭にて。刑務所で絵の指導をする気鋭の画家(東明相)はある青年(黄河)の画才を高く評価し、なじみの画廊主(劉品言)らの協力をとりつけ受刑囚たちの作品や彼らの肖像画を展示する。だがその青年がかつて社会を震撼させ…

第一炉香

原題同じ。東京国際映画祭にて。張愛玲の原作は未読にてそれをどう許鞍華監督が映画の世界に移し替えたかは今現在評することはできないのですがさだめし原作もにおいたつような(かぐわしさ、青くささ、はかなさ、成熟の果ての腐臭も含めて)愛と業の物語な…

チャンケ:よそ者

こと中文タイトル「醤狗」。東京国際映画祭にて。台湾と韓国のハーフである張智瑋監督による、華僑の父と韓国人の母の間に生まれ韓国で生まれ育った中・韓バイリンガルの主人公をめぐるアイデンティティと家族と恋の物語。監督自身の経験もふまえているらし…

愛しの母国

こと原題「我和我的祖国」。昨日劇場にて。7人の監督による7話オムニバスで、陳凱歌が総監督と1パートの監督をつとめた、タイトルが示すとおりバリバリの愛国映画。先日観た「愛しの故郷」の姉妹編で(本作が姉にあたる)寧浩、徐崢、葛優、黄渤、劉昊然…

弱くて強い女たち

こと原題「孤味」。東京国際映画祭にて。古希を迎えた母と3人の娘が長年音信不通だった夫(父)の死を知るところから始まる、次女役の徐若瑄がプロデュースも兼ねた女性映画。なにやらいろいろこじらせているらしい一家にどんな事情があったのかが少しずつ…

愛しの故郷

こと原題「我和我的家郷」。先日、2020東京・中国映画週間にて。張芸謀監督が総合プロデューサーをつとめた、寧浩、徐崢、陳思誠、鄧超&兪白眉、閻非&彭大魔の7監督5チームによる5話オムニバス。1話ごとにタイトルや出演者を書き出す気力?が今ちょっ…

七人楽隊

フィルメックスにて。杜琪峰監督が発案し、呼びかけに応じた洪金寶、許鞍華、譚家明、袁和平、林峯東、徐克。この、香港映画の目下最後の(目下でありますように)黄金期を牽引した7人の名匠それぞれの香港への想いをこめたオムニバス。楽しくてなつかしく…

誤殺〜迷える羊の向かう先〜

原題同じ。2020東京・中国映画週間にて。インド映画「ビジョン」のリメイクだそうですが自分はオリジナルを観ていないので話がどうころがっていくのかまったく読めず、緊張につぐ緊張。すっっごい面白かった! 中国映画だけど舞台はタイというのが効いていて…

リメイン・サイレント

こと原題「保持沈黙」。2020東京・中国映画週間にて。スター歌手が何者かに刺されて重体となり彼女が過去に捨てた息子が容疑者として逮捕された事件の真相をめぐるクライムサスペンス。内容的な緊張感が正直あまりなかったせいかマネージャー役・祖峰の若い…

ロスト・イン・ロシア

こと原題「囧媽」。2020東京・中国映画週間にて、秋の一連の映画祭、自分的スケジュール最初の鑑賞作にて徐崢監督の囧シリーズ最新作は、過干渉の母と離婚騒ぎの渦中にある息子がモスクワ行きの長距離列車とロシアで繰り広げるドタバタ母子モノ。ハイテンシ…

フード・ラック! 食運

オンライン試写にて。これから東京国際映画祭での上映を経て公開となるので物語の流れについては書かずにおきますが誰しも予想するであろうとおりに空きっ腹で見たらおなかがぐうぐうなりっぱなしになるので適度に小腹を満たして鑑賞することをおすすめした…

スタートアップ!

劇場にて、初日かちこみ。平日日中ながらなかなかの入りでした。善哉善哉。自分としてはマブリーことマ・ドンソク氏がヘンな(失礼)ヘアスタイルで町中華の料理人を演じるコメディというだけでもう基本なんでもオッケーにつき、十分に楽しみ大いに癒されま…

スパイの妻

劇場にて。先のヴェネチア映画祭で黒沢清監督が銀獅子賞を受賞ということで話題性十分、評判も上々の本作、予告編は何度も見てますがそれ以上のことは極力耳目に入らないようにしてきたのでおおおこういう作品だったのかと最後まで目が離せませんでした。個…

鬼滅の刃 無限列車編

劇場にて。週末は親子連れ率たぶん高め&全席販売&たぶん爆満なので遠慮しといて平日午前に行きましたら、それでも思ったより入ってましたが周囲の雑音等もなくじっくり観られました。というより雑音をたてたりそれが耳に入ってくるスキを与えない波状攻撃…

シカゴ7裁判

Netflixにて。実録法廷モノの迫真感、政治裁判の闇と知的駆け引きのスリルと面白さ、そして時代や国はちがえどもまったくもって人ごとじゃない同時代感、、、シカゴ・セブン裁判とは?というところからして知らなかったので最初のうちは誰が何をしたのか人間…

パヴァロッティ 太陽のテノール

公開が始まってだいぶたち、遅ればせながら劇場にて。3大テノールの1人でありオペラ通でなくともたぶんほとんどの人がその名を知っているだろうルチアーノ・パヴァロッティ。その、邦題のごとくまさに太陽のような、熟れた巨大なトマトのような、五臓六腑…

ヘルムート・ニュートンと12人の女たち

試写にて。足の超長いブロンドのモデルたちが一糸まとわぬ姿で戦士のように屹立するモード写真をはじめとするインパクト絶大な作品群で一時代を築き、04年に83歳で死去した伝説的ファッション・フォトグラファー、ヘルムート・ニュートンの生誕100年記念作品…

82年生まれ、キム・ジヨン

劇場にて。だいぶ前からそこはかと耳にする限りではチガウコレジャナイという評価のようだったのでちょっと身構えながら観たのですが、正直確かに原作がぐさぐさ刺さりまくった身としては映画版は「もうひとつの「82年生まれ、キム・ジヨン」」でした。映画…

ソング・トゥ・ソング

オンライン試写にて。 自分は何者? 自由とは? 愛とは?... 成功した音楽プロデューサーのクックと成功を夢見るソングライターBV、2人の男と付き合いながら心の焦点が定まらないフェイと、クックと出会いウェイトレスからセレブ妻へと環境が一変したロンダ…

ボルケーノ・パーク

こと原題「天火」。オンライン試写にて鑑賞。火山を売りにしたテーマパークとして人気を集める天火島を舞台に、往年の噴火で妻・母を失った父娘のドラマを中心に再び大噴火を起こした島からの人々の命がけの脱出劇を描くディザスター・ムービー。「トゥーム…

聖なる犯罪者

先日試写にて。先のアカデミー賞で「パラサイト 半地下の家族」等と外国語映画賞をあらそったポーランド=フランス合作映画。少年院で神父と親しくなり自らも神父になりたいと願うも前科者は神学校に行けないと聞かされた不良青年ダニエルが、仮釈放後にちょ…

フェアウェル

劇場にて。本日初日。「別告訴她」という中国語タイトルもオープニングでしっかり出てました。幼いころ両親とアメリカに移住してアメリカで育ったビリー(オークワフィナ/林家珍という漢字の名前もあるとは今回初めて知りました)を主人公に、中国に住む大…

お気楽探偵アトレヤ

IMW2020にて。推理のセンスは冴えているがしょぼい仕事の依頼しか来ない貧乏探偵アトレヤが、警察に自殺案件として処理されたレイプ事件の真相をさぐるため探偵見習いの助手と捜査にとりかかるも、レイプ殺人犯として追っていた者たちが殺されアトレヤがその…

クライマーズ

こと原題「攀登者」。劇場にて。製作者の1人が徐克、監督が李仁港という香港映画界のベテランが参加した、映画そのものはばりばりの中国映画。世界最高峰のチョモランマ(エベレスト)初登頂を1960年に達成しながら証拠となる映像を撮っていなかったため世…

『パラサイト 半地下の家族 公式完全読本』完全解説!

告知です。今月刊行されたばかりの「パラサイト 半地下の家族 公式完全読本」について解説します!という趣旨の有料配信イベントが10月6日(火)19:30 〜22:00に行われるはこびとなりました。不肖うらかわも参加予定です、というか自分はあいづちをうってる…

伝説の女優 サーヴィトリ

昨日、IMW2020にて。50〜80年代の映画の都マドラスを舞台に実在のスター女優サーヴィトリの波乱万丈な人生を若手女性新聞記者が掘り起こしその過程で自身の人生も見つめなおしていく、ある意味で二世代の女性の魂がひびきあう大河ドラマ。まさに夢工場といえ…

The Witch/魔女

Netflixにて。18年に特集上映されていた(というのはあとから知りました^^;)、「新しい世界」のパク・フンジョン監督作品。「梨泰院クラス」の秀才ソシオパス少女で強烈な印象を残したキム・ダミとみんな大好き(?)「パラサイト」等のチェ・ウシクの共演…

ウルフズ・コール

劇場にて。本日初日。潜水艦映画にハズレなしという印象と期待とともに例によって前知識ゼロで見たのですが期待以上の先の読めなさと容赦なさにむちゃくちゃ緊張。最初のうちはレダ・カテブ超かっこいいなーオマール・シーもかっこいいなーと目をハートにし…

もう終わりにしよう

こと原題「I'm Thinking of Ending Things」。どんな話なのかまったく知らず同名の原作小説も未読でとにかく難解だけどすごいというウワサを小耳にはさんでNetflixにて鑑賞。 いやはや、、これはけっこうしんどい。でもどちらかというといい意味でしんどくて…