スパイの妻

劇場にて。先のヴェネチア映画祭黒沢清監督が銀獅子賞を受賞ということで話題性十分、評判も上々の本作、予告編は何度も見てますがそれ以上のことは極力耳目に入らないようにしてきたのでおおおこういう作品だったのかと最後まで目が離せませんでした。個人的に一番「お見事です」と思ったのは、タイトルどおり「妻」(蒼井優)が主人公であり、彼女の夫(高橋一生)と彼女にひそかな想いを寄せのちに彼女ら夫婦を追い詰める憲兵分隊長(東出昌大)は共に主演といえるポジションでありつつヒロインの引き立て役(?)として大きな役割を果たしていて、男たちそれぞれの思いや思惑や言動が一人歩きしないで常に彼女の磁場の中にあるというか、そのバランスの中でミステリーが仕込まれていて、見方によっては画面にうつっているそのままに受け止めてもたぶん許されるし、そうでなくて実はあれはこうでこれはこうなんだろう等々深読みもできること。とまああくまで個人的な感想ですがそこがとくに印象的でした。たとえば●●が彼女を●●したのは彼女を●●ためだったのではないか(でもそうじゃないかもしれない単に●●かもしれない)とかいろいろあとからぐるぐる考えてしまいました。

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