死霊魂

都合により試写へ行けなかったためDVDにてひとあしお先に観せていただきました。朝から気合を入れて面会謝絶の勢いで(といっても途中休憩とかちょっとした野暮用もはさみながら)三部構成で合計8時間26分の長尺を10時間くらいでコンプリート。

すさまじい傑作。

1950年代末から60年代頭にかけて中国共産党による反右派闘争に巻き込まれ辺境の収容所で生存率1割以下の飢餓地獄に苦しみながら奇跡的に生き延びた知識人たちの晩年の証言を中心に編まれた王兵監督渾身のこのドキュメンタリーは、「鳳鳴ー中国の記憶」(07・ドキュメンタリー)および「無言歌」(10・劇映画)で描かれた反右派闘争の犠牲者とその家族の無念や慟哭にあらためて向き合うというよりもっとはるかに突き抜けたどこか神の目線というか無の境地のようなトーンで、ただただ耳を傾け、胸うちふるえ、語り手たちとその背後の何千という無言の魂に思いを致しつついつしか観終わっていて、さぞかしぐったりするだろうなと覚悟していたらそれほどぐったりしなかったのがちょっと奇妙な驚き。内容は超がつくほどヘビーなのですが個人的には現時点で王兵作品の中でもっとも感動した作品でした。

公式サイトはこちら。3部イッキでなくとも1部ずつマイペースで観ても大丈夫だと思うので、おそれずにトライしてほしい映画です。