原題「一个和四个(一個和四個)」。先日、ペマ・ツェテン監督特別追悼特集にて。表題作はペマ・ツェテン監督がプロデュースし息子のジグメ・ティンレー監督が北京電影学院卒業制作として撮った長編デビュー作。鹿の密猟が絶えない雪山で、おなじみ?のジンパ演じるチベット人の無骨な男が管理人をつとめる山小屋に森林警察を名乗る男、管理人の同郷の男、森林警察を名乗るもう一人の男が一人また一人とあらわれ、その中の誰かが実は密猟者ではないかと互いに疑心暗鬼が高まっていく極寒ノワールは、スリリングで時にユーモラスでどこかしら不条理劇的で、タイトル中の一人は管理人だとして四人とは誰なのか(まともな登場人物はあと3人だけなので)とかいろいろ想像の余地がある作りも刺激的な、これがデビュー作というのが驚きの秀作。21年の東京国際映画祭コンペ部門で上映されたさい自分はなぜか見逃してしまい、今回見られて本当によかったです。