あのこと

こと原題「L'evenement」(出来事とか事件の意)。劇場にて。今年のノーベル文学賞受賞者アニー・エルノーの自伝的原作(翻訳タイトル「事件」)を映画化した2021年のベネチア映画祭金獅子賞受賞作で、中絶が違法だった1960年代のフランスで不用意に妊娠してしまった大学生のヒロインが孤立無援に陥る、自分が今年見た中で一番の衝撃作。見終わって気づいたら肩がばきばきにこっていて、それくらい心身に響く緊張感にとらわれていた、におわせだとかオブラートに包む系の映像表現をぶっちぎってよく見てくださいこういうことなんですよとたたみかけてくる、それでいてナチュラルな演出の強度。この展開を「自己責任」と冷めた目で見る人もいるかもしれないけれども自分としてはヒロインのセリフにもあった「不公平」がもっとも刺さるキーワードでした。ちなみに本作のオドレイ・ディワン監督の次回作はレア・セドゥを主演にむかえた「エマニュエル夫人」のリメイクで、超絶楽しみ!

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