真珠のボタン

劇場にて鑑賞。チリのパトリシオ・グスマン監督監督による、今年のベルリン国際映画祭銀熊賞脚本賞)受賞作であり山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞受賞作。長い海岸線を持つ細長い国チリで、スペインの植民地化時代と独裁者ピノチェトの時代と2度にわたりかつて“水の民”だった先住民のインディオが虐殺された、その闇の歴史を真珠のボタンに象徴させるかたちで、宇宙とつながっているかのような不思議な文化を持っていた先住民の古い記憶を掘り起こしていく哀しく静かなドキュメンタリー。人類はなんと多くの虐殺の歴史を繰り返し、それを隠したり逆に正当化したりしてきたことかとタメイキしか出ない一方で、内省的で詩的でどこか夢想的な語り口のあたたかみに、できるかぎり記録すること、記憶すること、忘れたらまた思い出すことの大事さをあらためて教えてもらった気持ちにも。もう1本、対になっている「光のノスタルジア」はまだ見ていないので後日見るつもりです。
公式サイトはこちら