なまず

オンライン試写にて、19年に大阪アジアン映画祭で見て以来2度目の鑑賞。インディーズ界の才女イ・オクソプ監督の長編デビュー作で、病院の水槽で飼われているナマズのナレーションで物語が進む、看護師とその無職の彼氏と病院の副院長を中心にゆるく結びついた者たちがそれぞれ陥る「ふとしたきっかけで疑心にかられるという落とし穴」についての不条理劇的展開の、初見のときはポップでシュールで先鋭的な楽しさという印象にとどまっていた自分はだいぶ見る目がなかったなあと今さら気づかされる突き抜けた面白さにあらためてびっくり。日本でちゃんと公開されることに感謝です。主演のイ・ジュヨンはその後「李泰院クラス」「野球少女」とぐんぐん頭角をあらわし「ベイビー・ブローカー」でカンヌ初参戦の最旬女優。ぐうたらなカレシ役のク・ギョファンも同じく近年はメジャー作品でも活躍し、公私にわたるパートナーであるイ・オクソプ監督とはインディーズ界の最先端カップルといえるかも。劇中では大御所ムン・ソリも相変わらず鉄板の安定感で、個人的に彼女はザ・演技派!系のキャラよりこの映画みたいにギリギリ普通のような妙にずれてるような役にさらりとハマる感じが断然好みです。また、なまず役(?)チョン・ウヒの「哭声」や「悪の偶像」の怪演イメージとはうってかわったかわいらしい声もツボでした。

公式サイトはこちら。ちなみに映画の公開(7月29日)とタイミングを合わせてJAIHOにてイ・オクソプ監督の短編4本の配信もスタートするそうで、こちらも楽しみ。