行き止まりの世界に生まれて

JAIHOにて。ラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれ閉塞感ただようアメリカ中西部の小さな町で、それぞれに家庭や自分自身の問題をかかえたスケボー少年たちの12年間をその1人であるビン・リウのカメラが追った秀作ドキュメンタリー。もともとは趣味のスケボー映像だったのが、ビン・リウが映画人を目指したことによって結果的にアメリカ社会の1つの縮図が形成されるかたちになり、とくに若くして父となったものの次第に酒びたりになっていく白人青年、憎んでいた父親の影をその死後になって追い求める黒人青年、母親の再婚相手に虐待を受けていたアジア系のビン・リウ本人の3人を中心に、吹き溜まりのような社会でもがいてきた若者たちの痛みのただならなさの一方で彼らがスケボーに全集中しているときの解放感と開放感に救われる思い。18年の作品で、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネートをはじめ各映画祭で絶賛との評判は耳にしつつ未見(このパターンが多すぎる自分。。)だったのを配信でフォローできてよかった。