私のはなし 部落のはなし

劇場にて。86年生まれの満若勇咲監督が、部落差別や同和問題の当事者たちとその関係者・研究者に真摯に向き合いじっくりと話を聞く中でひとりひとりの記憶や意識や持論や迷いが千差万別に浮かび上がってくる、レイシズムがネットにも実空間にも深く根をはってさまざまな立場の当事者が心ない言葉に傷ついている現在の社会問題に直結する面と、長い差別の歴史が総じてというか少しずつというか過去の教訓となりつつある今の時代に(いや、全然過去のことになってない!という人ももちろんいるはずですが)いわゆる「寝た子を起こす」作品を世に問う勇気や覚悟が結びあって、胸にというより肚にずっしりとくる約3時間半のドキュメンタリー。部落のことは基本的知識をそこそこ持ち合わせているものの昭和は遠くなりにけりという意識の中で勝手に風化のイメージを持っていた自分に「もしあなたがこの中の一人だったら?」と問いかけてくるような(それはまた監督の自分自身に問いかけでもあるような気が)得難い学びと熟考の場となりました。ちなみに自分の田舎でもかつてそういう地域があって、親にちょっと聞いてみたこともあるんですが一種のタブーだったのかどうか親も詳しくは言わなかったことを映画を見ながら思い出しました。

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