WANDA/ワンダ

先日試写にて。お人形のように可愛らしいばかりで無学で生活能力もなく夫に離婚されたあげくゆきずりの男と寝たりしながらあてもなくふらつく主人公ワンダがある男と出会ったことからなりゆきで犯罪に加担することになる、虚無的でモードで刹那的でいとしいロードムービー。34歳のときに23歳年上の巨匠エリア・カザンと結婚し48歳で病のため世を去った女優バーバラ・ローデンが1970年に監督・脚本・主演をつとめた唯一の長編作品であり、マルグリット・デュラスが「奇蹟」と称えたという幻の映画で、イザベル・ユペールが03年に配給権を買い取ったのをかわきりに世界各地で再評価が進み、この夏に日本初公開。。という経緯を例によって知らずに見たので50年以上前の映画とは思えない今見てもまったく古びていないみずみずしさ、美しさに感銘を受けるとともに、痛ましさ、はかなさが胸に刺さって、しばしぼうぜん。71年のカンヌ映画祭で唯一のアメリカ映画として上映されたにもかかわらず本国アメリカで話題にならないまま忘れ去られ、長い時を経てよみがえるとは。。これもまた1つの奇蹟であり、古い机の奥に見つけた誰かの小さなダイヤの指輪のようなこの珠玉の女性映画の数奇な運命だったのでしょうか。

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