夜明け

昨日試写にて鑑賞。先のFILMEXでコンペに参加しスペシャル・メンションに選ばれた広瀬奈々子監督作品。FILMEXでは観ていなかったので遅ればせながら今ようやく授賞に強く同意できます。是枝裕和監督の弟子筋というのがうなずける作風は、どこかイ・チャンドン作品のテイスト(「私の少女」とか)を思い出させもして、簡潔な文体と深い洞察力と力みを感じさせない力強さはデビュー作にしてすでに熟練の技。授賞式で監督が主演の柳楽優弥に感謝を込めて言及していたように記憶しますが、これも今さらながらに強く同意です。消えてしまいたいほど困ったときの、逆八の字眉毛をこれ以上寄せられないくらい寄せて苦笑いをしてしまう表情の痛ましさ。思わずこちらが泣きそうに。。もう一人の主役である小林薫もさすがの名演。それと、劇中で一度も「死ぬな」とか「生きろ」という言葉がなかった(と記憶します。。あったらすいません)のがすばらしい。あったらよくないとまでは思わないけど、それは必ずしも、声に出して登場人物に言わせなくて、よいのです。
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