春の夢

試写にて観賞。ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク(公式サイト)にて上映されるラインナップの1つで、「キムチを売る女」のチャン・リュル監督作。この監督の作品はこれまで多分3本見ていて独特の哀感と閉塞感が忘れがたい佳作ぞろいでしたが、本作はそこへ滑稽味や詩情や物語が終わったその先への視線が加わってひときわしみじみと味わい深い傑作に。ヤクザくずれの男(ヤン・イクチュン)、工場をクビになった脱北者の男(パク・チョンボム)、てんかん持ちの男(ユン・ジョンビン)というハタからは3バカトリオと思われている男たちと、父親の介護をしながら飲み屋を経営する美しい女(ハン・イェリ)がつるんでグダグダと日々を過ごす物語。グダグダな中にも小さな事件は起こり、小さな驚きや悲しみや喜びがあり、やがて大きな変化が訪れる…。3人組をそれぞれ実績を持つ監督たちが好演(うますぎてプロの俳優にしか見えない)、マドンナ役のハン・イェリも素晴らしかった。