アンブロークン 不屈の男

劇場にて鑑賞。アンジェリーナ・ジョリー監督の力作にして良作。本来であれば普通に公開されて普通にいろんな人が見て普通にいろんな評価をされるはずだったと思うのだけれどどこのどいつが反日映画と言ったのやらなぜに劇場がびびったやら公開があやぶまれる状況になったことではからずも政治的フィルターが加わった、イタリア系アメリカ人陸上オリンピック選手が太平洋戦争に従軍したさいの壮絶な体験を描いた事実にもとづく戦争映画。劇中、日本軍のきちがいじみた将校の描写はヘビーで執拗で(とはいえ演じているMIYAVIという人のことは知らなかったのですがかなりの好演)見ていてなかなかにしんどいものはあるしそれを反日的ととらえる人がいても逆にアメリカの観客がこの映画を見てファッキンジャップと思ってもその人の感じ方だからしょうがないとは思う。ただ古今東西、権力を全能感ととりちがえた愚劣な人物はそこらじゅうにいるわけで、タイトルどおり不屈の男の精神性と生きざまを目の当たりにしてそこから何を感じ取るかが第一義である映画を政治的文脈でだけ論じるのは単純にズレているし、めぐりめぐって大学の人文系不要論なんかとも地続きじゃないでしょうか(と作品論よりそっち方面でけっこう怒っております)。
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