消失点

昨日FILMeXにて鑑賞。久しぶりに「わ、わからん!」な映画を見ました。さすがは天下のアピチャッポンを輩出したタイ映画界というべきでしょうか、土着というか独特な死生観をたたえた不穏さとおだやかさの同居するアート作品で、「???」と思いながらも見終わってみると、いくつかのエピソードをバラバラに解体した上で不規則に(時に人間関係や時間軸をずらして)つなぎ合わせたのかもと漠然と感じ、上映後の監督のQ&Aを聞く限りではまあ当たらずといえども全然ハズレでもなかったかなとひそかにホッとする一方で、「ああ、そうだったのか」と気付かされるものもあり。基本的に「分からない映画」を見たとき自分は「分からないけど面白い」と思うか「分からなくてつまらない」と思うか「分からないけど分かった気がしないでもなく、もっと分かりたい」のどれかなんですが、この映画については3番目でした。
ちなみにQ&Aで一番印象的だったのは、冒頭で映し出されるなかなかにショッキングな事故写真は監督自身の幼いころに両親が事故にあったときの報道写真だそうで、それを親戚の人が少年の部屋の壁に貼り、その写真を見ながら育ったというようなエピソード。タイでは日本では考えられないようなリアルな写真が新聞に載るのは知ってましたが、それを小さい子が毎日見る場所に貼ることの意味(意図というか)を、んなことしたらトラウマになるんではないか的な驚きとは別の観点からとらえないとこの映画を消化することはできないのかもしれないと思った次第です。