天使は白をまとう

こと原題「嘉年華」。FILMEXにて鑑賞。中国南方の海辺の都市を舞台に、高級官僚が中学生の女子2人を強姦した事件をめぐり、当事者の家族、警察、弁護士、ホテルの従業員らそれぞれの思惑と行動の行方を描く社会派文芸作品。コトを起こしたのが地元のおエライさんだけに、うやむやに済ませる方向へ全体が動いていく苦々しい展開に、ニッポンでも似たようなことになってるじゃんと暗い気持ちになりつつ見ておりましたが、映画ではさらに育児放棄や売春などゆゆしきテーマも重なって、何がどうなっていくのか最後まで目が離せませんでした。もしかしてこれ中国では上映できないんじゃ?と思うような設定もありましたが、まもなく中国でも公開だそうです(エライ!)。出演者では、レイプされた少女のうちの1人小文の父親役の顔がどこかで見たが誰だったかなと思っていたらあとで耿楽と分かってびっくり。また、台湾映画界で近年大活躍の陳竹昇がリゾートホテルの支配人役で出てました。先のベネチア映画祭コンペ参加作品であり、まもなく開催の台湾金馬奨では作品賞、監督賞、主演女優賞(小米役を演じた文淇)の3項目でノミネート、と高い評価を受けている本作は、「薄氷の恋人」のプロデューサーなど製作方面でも実績のある文晏監督の長編2作目。上映後に登壇した監督は見るからに知性派の切れ者といった雰囲気でした。英語名がVivian QU。QUはなんのQUなのかしら。