自由行

昨日FILMEXにて観賞。政治的理由で中国に帰れないまま香港に定住して6年となる應亮監督自身の境遇と経験を色濃く反映(ただし主人公は男性でなく女性)した最新作。直接会えなくなって何年も経つ母娘が、かたや大陸からの団体ツアーで、かたや映画祭への参加という形でタイミングを合わせて高雄で再開する物語は、双方の立場を危うくするような大きな事件が起こるわけではないのだけれど最初から最後まで緊張が抜けずときに恐怖をおぼえるほどで、台湾・香港・中国をめぐる敏感で複雑な関係に胸のうちでため息をつきどおし。いつも思いつめたような表情の主人公が関係各方面の助力でようやく母と会えたにしては終始テンション低すぎるのが気になる反面すごくリアルな感じもして、そんな彼女を見守る香港人の夫(ピート・テオ先生!)のほとんど神対応的包容力に胸アツ。主演の宮哲は、検索したら第18回東京国際映画祭で上映された「私たち(我們倆)」の主演の1人でゲスト来日もしてました!が、よく思い出せなくてもしかすると自分は「私たち」を見逃してしまったのかも。いや、見たような気もするし、、、(←耄碌)。母役の耐安は婁菀作品のプロデューサーとしておなじみながら顔を知らなかったのでこんな上品なおばあさんだったのかと思ったら女優さんでもありしかも63年生まれだそうなので老け作りだった模様です。 
上映後、監督が来場してのQ&Aは所用があって聞けませんでしたが写真をみる限りでは應亮監督、なんかシュッとして垢抜けた印象。苦労が多いからか、あるいは香港在住の影響でしょうか。ちなみにこちらの記事をみると、脚本を書きながら色々ツライ経験が思い出されて筆が進まない部分は共同脚本家の陳慧が補ったというようなことも語っています。