「繭」「五月の雲」

「ヌリ・ビルゲ・ジェイラン映画祭」 オープニングイベントにて鑑賞。昨日「雪の轍」を見たばかりのグッドタイミングでヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の初期作品を見ることができ興味の尽きないものがありました。「繭」はモノクロで台詞はなく、老夫婦の陰影深い無言のたたずまいと不機嫌そうな少年、風や木立や川の流れのショットやどこか死の気配をたたえた風景が強い印象を残す20分の短編にして監督デビュー作。「五月の雲」は自伝的作品らしく「繭」に登場した老夫婦(監督自身の両親が演じていると思われ)が息子の撮る映画に出演することとなり息子の従兄弟や甥も撮影に参加するという大まかな話の流れの中で、父親の土地と林への愛着や、純心な9歳の甥が次第に駆け引きをすることを覚えていくささやかな変化をとらえた、どこまで続くのかどこで終わるのか分からない、どこで終わってもそれはそれでありな気がする淡々として郷愁をさそうこちらも印象深い130分の長編でした。
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン作品については正直まるでビギナーでしたが、シネマカリテにて旧作「昔々、アナトリアで」が上映されるほか、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン映画祭2015が9月29日(火)から10月3日(土)までアテネ・フランセ文化センターにて開催され、なんだかこちらも通いつめてしまいそうな予感。。