テロライザーズ

昨日TIFFで。自分の鑑賞スケジュールはこれで締め。今回もFILMEXも合わせて都合がつかなかったり時間帯がかぶっていたりで気になりながら観逃してしまった作品がそこそこあるのですが、観た範囲内でいえばハズした〜とがっくりくるものはなくて全体に面白く興味深く(寝落ちもせず)観られたのはラッキーでした。と同時に、こういう映画と出会えるから映画祭はやめられないんだよね!とシビれるほどでもなかったのですが(すみません)いくつかの例外の1つがTIFFでは「リンボ」。えぐいので共感はあまり得られないかもですが自分は好きすぎて小躍りしそうでした。そしてもう1本旧作の「魔法使いのおじいさん」がすばらしくて感動。上映してくれたFILMEXさんありがとうございます。

で、表題作ですが多くの人が指摘するとおり英語タイトルが楊徳昌の不朽の名作「恐怖份子」の英語タイトルと同じなのでどういう意図があるのかなと思いつつ観てまして、おお〜そういうことねと納得のシチュエーションが出てきたほか「牯嶺街少年殺人事件」を想起させるディテールがあったりもしたので何蔚庭監督から楊徳昌監督への敬意がこもった作品なのねと解釈したんですが、あとから監督のトークサロンをアーカイブ映像で見たら当初は別タイトルを考えていたとのことで、必ずしも狙ってオマージュというわけではなかったもようです。(話はそれますがトークサロンで監督は英語で応答したため中文原題の「青春弒戀」を「チンチュンシーリェン」と発音してその意味を英語で問い英語で答えるという、漢字の字ヅラを見れば説明不要じゃね?と思う部分でそこそこ時間をくってしまったのがう〜むでした)

映画はまさに青春弒戀という感じで、ゲームおたくの大学生、コスプレ女子、孤独な女優、ギャラほしさにエロ映画に出た女優、料理人の元船乗りという若者たちを中心にこじれてねじれて不穏さをどんどん増していく群像劇。冒頭でぎょっとさせる事件が起こりそれからその背景が明かされていく構成で、正直途中までちょっとピンとこなかったのですが次第に事件の背景が見えてきてさらに事態がやばいことになってからは面白さがぐんと増したけどそこまでが長かったなという気もいたします。キャストでは静かにこわれていく林柏宏がじわじわくる好演。あと、唯一大人のキャラとして彼らにからんでくるマッサージ師を丁寧がすごいフェロモンでけだるく演じていて見ているだけで酩酊しそうでした。