走れロム

試写にて。釜山国際映画祭ニューカレンツ部門(新人監督コンペ部門)最優秀作品賞を受賞するなど各国の映画祭で注目され、大阪アジアンでも特別招待作品として上映された(行かなかったもので不覚にもノーチェックでした)ベトナムの新鋭チャン・タン・フイ監督の長編デビュー作。ベトナムの労働者階級に浸透し長らく社会問題となってきた違法ギャンブル「デー」にすがる人々の日常を描き、本国では検閲に通らなかったいくつかのシーンをやむなくカットしたものの公開されると異例のヒットを叩き出した話題作で、サイゴンのほとんどスラムといえるアパートの屋根裏に住み、貧しければ貧しいほど一発逆転をねらって闇くじ(デー)にはまる住民たちからカネを集めて仲介人に渡す走り屋の少年ロムの、野生動物のような生存競争の日々の悲惨な中にもつきぬけたバイタリティと疾走感が胸にささる驚きの快作。もしかしてホンモノのストリートチルドレンをスカウトした?と思ってしまったほどリアリティあふれる主演の少年はなんと監督の実弟だそうで、そのライバルの走り屋で山猿のようにすばしこい小悪党の少年(青年?)ともども圧倒的存在感でした。

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