ミスター・ノー・プロブレム

先日TIFFにて鑑賞。婁菀監督作品の脚本を数多く手がけてきた梅峰が老舎の1943年の同名短編小説を映画化した初監督作。農園のオーナー夫妻にも労働者たちにも受けが良いが経営状況は赤字続きで大株主から疑問視されている世故に長けた雇われ管理人の男を軸とするブラック・コメディ的人間模様。いろいろとダメなんだけれどどうにもならない現実や人生の可笑しみ、悲哀、諦観あるいは達観とともに時間がゆったりと流れていく、サイレント時代のモノクロ映画が現代によみがえったようなクラシカルな熟成感をしみじみと味わいました。主演の范偉は自分としてはよく見る俳優さんのような気がしてましたがフィルモグラフィーを確認したら実際そんなには出演作を見てはいなくて、どうやら「南京!南京!」の印象が強かったのかな。「我不是潘金蓮」も早く観てみたいものです。来る金馬奨の主演男優賞にこの映画でノミネートされており、さて許冠文がとるか范偉がとるか、それとも…。