翡翠の城

先日、山形国際ドキュメンタリー映画祭にて鑑賞。「マンダレーへの道」こと原題「再見瓦城」の趙徳胤監督による、劇映画の「再見〜」と同じく16年作品。国軍と反政府軍が対峙する紛争地帯で翡翠の原石の不法採掘に従事する男たちのアメリカン・ドリームならぬミャンマ・ドリームの最前線を監督の実兄に密着してとらえた、リスキーで生々しく時に切なくいとおしくさえあるドキュメンタリーならではのパワフルな1本で、以前にも一攫千金を狙って翡翠採掘に行ったまま何年も音信不通、その後ヤク中で刑務所入りも経験したお兄さんはさすがにカタギに見えないが苦労人らしい包容力もあわせ持つ親分肌な印象で、口数の少ない萬梓良といった感じ。貧困家庭に育ちながら幸いエリートコースを歩むことができた監督とは年齢も考え方も隔たっているけれど、監督が撮影中危険な目にあわずに映画を完成できるよう配慮してくれたそうで(それでも監督は撮影中マラリアにかかってしまいすごく苦しい思いをしたとか)血を分けた兄弟だからこそ撮れた濃密な作品だと思いました。劇中、「アイス(冰毒)」(14)のドラッグのシーンはウソくさかったな、などとさらりと言ってのける兄ちゃん、モノホンすぎます…。
かくなる上は翡翠二部作と呼ばれているもう1本の「挖玉石的人」(15)もぜひ見てみたいもの。劇映画とドキュメンタリーと合わせて趙徳胤特集上映とかどっかでやってくれないでしょうか。
ちなみに会場ロビーでは「再見〜」のヒロイン女優呉可熙の姿も見かけました(綺麗!)が上映後の質疑応答には登場せず。もしかしてもしかするとゲスト来日というより監督のパートナーだったりとか?