アルジェの戦い

66年のベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。来る10月にデジタル・リマスターおよびオリジナル言語版で公開されのに先立ち、昨日試写にて鑑賞。130年にわたりフランス統治下にあったアルジェリアで起こった独立闘争(アルジェリア戦争/54〜62年)、その中でも特に凄惨な報復テロが繰り返された56〜57年のアルジェリア民族解放戦線フランス軍との攻防戦を重厚なドキュメンタリータッチで描く緊張と怒りと悲しみの一大傑作でした。テロに志願した女性の、子供も含む一般市民を爆殺することへのわずかな逡巡や、アラブ人をネズミよばわりする入植フランス人たちの傲慢、拷問も容認してはばからない仏軍中佐の鉄壁の職業意識まで、どの細部も力強く生々しく、とりわけ独立派組織のアジトとなった旧市街カスバで実際にオールロケを行った臨場感と貴重な映像は圧倒的。急な坂道と石造りの建物が入り組んだ迷路のようなカスバの街並み、そこに身をひそめつつ緻密な連絡網でつながるゲリラたちと彼らを支える住民のしぐさや表情はそのアップの1つ1つが胸に刺さりつつ感動を覚えるほどで、カスバといえばまず「カスバの女」(古!)の異国情緒、最近では2013年の痛ましい人質事件を連想する自分でしたが、今後はカスバといえば真っ先に思うのはきっとこの映画。プレスやチラシの「この作品で描かれている戦争は未だ終わっていない。ラスト・シーンの先に私たちの“現在”がある」というコピーもずっしりと重い。一生見逃していたかもしれない経典的作品に製作50年後に出会えたことに感謝です。
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