牡蠣工場

日劇場にて鑑賞。“観察映画”作家・想田和弘監督の最新作(製作・撮影・編集も)。瀬戸内海をのぞむ過疎の町で牡蠣工場を営む人々の暮らしを追ったドキュメンタリー。「選挙」や「選挙2」でも感じたんですが想田監督のカメラはひょうひょうと、淡々と、おそらくは直感的に興味の対象に吸い寄せられていき、とりわけ相手が「別に何も特別なことはしてないのに撮ってて面白いですか?」「もうこれくらいでいいでしょ」という感じに苦笑したり困惑しはじめてからのしぶとさ、むしろそこからがスタートであるかのようにふみとどまりつつ決して強引ではない柔軟さが印象的。撮られているのはその場所においてはごく日常的なことであっても、滅多にないハプニングがあったり、日常のあれこれに今の時代が如実に映し出されていたり、猫のシロ(とみんなに呼ばれているが本名はミルクらしい)になごまされたり、145分の映画が全然長く感じませんでした。ちなみにこの映画は今年の香港国際映画祭でも上映予定で、中国からの出稼ぎ労働者に対する受け入れ先の心くばりから不安まで人によってけっこうハバがある考え方のちがいに香港の観客がどんな感想を持つかちょっと興味をおぼえます。
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