港町

日劇場にて観賞。想田和弘監督の観察映画第7弾。観察映画という独自のネーミングで知られる監督のドキュメンタリーは、これまで以上に観察のスタンスを強めつつあるように思われ、かつこれまでどおり猫映画でもあり(猫が映るんです。しばしば)。カメラはその時の観察者すなわち監督の直感あるいは気分のままに吸い寄せられるように対象に密着し、どこまで密着するのかどこで途切れるのかわからないままこちらもその目線に付き合っているうちに思いがけないショットを目にすることになり、本作でいうとそれは瀬戸内の港町に1人で暮らすちょっとおしゃべりなおばあさんが本当なのか盛っているのか奇妙で痛ましい体験談を語りはじめた時の偶然か必然かたそがれどきのいわゆる魔の刻であることの一種の異界感に、見終わってもしばらく呆然と。
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