ピクニック

こと原題「郊遊」。昨日フィルメックスにて観賞。目下のところ蔡明亮監督の引退作とされる、先の金馬奨の最優秀監督賞および最優秀主演男優賞(李康生)受賞作。ほんっとに蔡明亮にしか撮れない、ほんっとにぶれのない、演じる側と観る側に一種の責め苦(人によっては陶酔か?)を共有させるレベルは過去最高かも。1つ嬉しい驚きだったのは、今回フィルメックスでは子供映画の秀作をいくつも観たんですが本作もまさかの子供映画でした。
Q&Aでも言及していた人がいるようにこれまでの作品へのセルフオマージュのようなシーンが数多く、本当に集大成なのかもしれないとつらつら思い出しながら、蔡明亮の分身でありミューズである小康は蔡明亮が映画の神様に捧げ続けてきたいわば供物なのだなと。そんなことを途中で考えていたら(なにしろうっかり居眠りしても目覚めたらまだ同じシーンだったりしかねないもんでいろいろ考えるひまがありすぎた)、あとからQ&Aで監督さんが「今後また映画を撮るかどうかは神様次第」みたいなことを話していてなんかすとんと腑に落ちたのでありました。
ちなみに以下はこの映画に対する完全なる個人的解釈です。異論反論ありましょうが別に強く主張するつもりはないので気にしないでくださいね。楊貴媚は陳湘蒞の“鬼”。陳湘蒞はなんらかの原因で世を去ったが、異界との境界ともいうべき廃墟の壁画を通して陸奔静になり、約束どおり子供たちを守ったのでした。来年日本公開予定だそうで、なるべく事前情報抜きで観ることをおすすめしたいので、反転しました。