ゴールド・ボーイ

不覚にも最近までほぼノーチェック(昨年のTIFFでワールドプレミアされていたのに)だったのですが中国で大ヒットしたネットドラマの原作小説を日本で映画化した話題作と聞き及んで期待満々で劇場へ。果たしてこれぁなかなかすごい、ヤバい面白さ! 完全犯罪のはずだった殺人が偶然にも少年少女が撮った動画に写り込んでいたことから始まるサイコパスvs秀才少年の攻防の、容赦なくエグい展開に時間を忘れて見入ってしまいました。で、例によってあとから知りましたが原作小説の「壊小孩」はすでにニッポンでも「悪童たち」のタイトルで翻訳書が出てました。そして中国で社会現象にまでなったというネット版「隠秘的角落」(秦昊主演!)も「バッド・キッズ 隠秘之罪」のタイトルで配信ずみ、さらに紫金陳原作のサスペンスシリーズは同じく秦昊主演の「バーニング・アイス 無証之罪(原題:無證之罪)」、 廖凡&白宇主演の「ロング・ナイト 沈黙的真相(長夜難明)」もとっくにニッポンで配信されていて、見たいと思いながら見そこねている作品群がやっとこさひとつながりに認識できた次第(遅)。は〜見たいドラマも見たい映画もいっぱいあってとても追いつかないのであります。

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倭文(しづり) 旅するカジの木

オンライン試写にて。「チロンヌプカムイ イオマンテ」(プは小文字)の北村皆雄監督が5年の歳月をかけて完成した、「日本書紀」にすでに記載がある古代の織物・倭文の探求と現代の織物作家たちによる創造的復元を通じて「衣」のルーツにせまるドキュメンタリー。天上からつかわされた二柱の武神(経津主神武甕槌神)が唯一制定できなかった“星の神”を倭文という織物の神が制定したという神話を端緒に、カジの木の樹皮で作られた倭文とはどんな織物だったのかをさぐる中で日本国内だけでなく類似の織物の伝統を持つ海外へも海の道をたどっていくフィールドワークのスケール感とロマンに、全くの門外漢ながら民俗学的好奇心を大いにそそられ、さりげなく凝縮された情報量の多さも魅力的でした。

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おいしい給食 Road to イカメシ

オンライン試写にて。人気TVドラマから劇場版シリーズに派生した給食・命!な中学教師・甘利田(市原隼人)と、同じく給食を味わいつくす受け持ち生徒との給食道を描く映画バージョン第3弾。TVドラマのほうは未見で映画も前作「劇場版 おいしい給食 卒業」しか見ていない自分ですが題材のユニークさと市原隼人の渾身パフォーマンスが楽しすぎてたぶん今後も劇場版は絶対見る派になってます。B級?グルメコメディというだけでなく分かりやすくデフォルメされているものの教育映画・学校映画としても熱くてグッとくる部分も手堅くおさえているのが好感度大。今作では市原隼人の筋肉ショットが挿入されたりまさかの達者な酔拳シーンもあり。舞台が函館だけにイカメシもなまらうまそげです。

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稽古

護身クラス@I道場。しーふーいわく「中心に入ればどの方向にでも半径を作れる。大きい円でも小さい円でも同じ」「常に筋肉を伸ばして相手の力と合流させる。力で引っ張ると相手の力を受けてしまう」「物理的次元では原因があって結果がある。まずそこをちゃんと科学的にやること。気の次元には気の次元の“科学”があるがそれは次の話」

稽古

武器法クラス@T道場。しーふーいわく「抜刀も納刀もスパイラルを使え。手で“持つ”のでなく、筋肉は常にのばして」「切りは左手。右手で切ると叩くか押し切りになる。左手で切るから剣先がぴゅんとまわる」「杖の打ちは体重を乗せるな。姿勢は常にまっすぐに、突くように打つ」「足裏を意識して、遠くを見て」

一人と四人

原題「一个和四个(一個和四個)」。先日、ペマ・ツェテン監督特別追悼特集にて。表題作はペマ・ツェテン監督がプロデュースし息子のジグメ・ティンレー監督が北京電影学院卒業制作として撮った長編デビュー作。鹿の密猟が絶えない雪山で、おなじみ?のジンパ演じるチベット人の無骨な男が管理人をつとめる山小屋に森林警察を名乗る男、管理人の同郷の男、森林警察を名乗るもう一人の男が一人また一人とあらわれ、その中の誰かが実は密猟者ではないかと互いに疑心暗鬼が高まっていく極寒ノワールは、スリリングで時にユーモラスでどこかしら不条理劇的で、タイトル中の一人は管理人だとして四人とは誰なのか(まともな登場人物はあと3人だけなので)とかいろいろ想像の余地がある作りも刺激的な、これがデビュー作というのが驚きの秀作。21年の東京国際映画祭コンペ部門で上映されたさい自分はなぜか見逃してしまい、今回見られて本当によかったです。

劇場版 再会長江

オンライン試写にて。中国在住のドキュメンタリー監督でありインフルエンサーの亮叔こと竹内亮監督が全長6300キロの長江の源流を目指し2021年から2年がかりで走破した記録映画「再会長江」の放映バージョンを新たに編集した劇場公開版。長江をさかのぼっていく映画というと自分の中ではまずベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した超監督「長江 愛の詩(原題:長江図)」が思い浮かびますが、本作はまったく別の意味で深い印象を残すドキュメンタリーで、とくに監督がこの作品の10年前にNHKの番組として長江を撮ったときに会った人々との再会シーンは感動的。また、バービーランドとはちょっとちがうけど女性がリーダーシップをとる部族の存在など、広い中国にはいろいろな地域があるのだなぁと興味は尽きず。そして悠久の長江……自分は今生では果たせないですがこの映画とともに時に夢のような時に過酷すぎる長い旅を追体験することができた心持ちです。

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