オッペンハイマー

劇場にて。もしかすると早くも今年のマイベスト。期待以上の大傑作。原爆の父ことJ・ロバート・オッペンハイマーの、キャッチコピーを引用するなら「天才科学者の栄光と没落」の物語は、毎度のことながら予習なしだったので登場人物の多さと行ったり来たりする時系列に時々おいていかれそうになりつつ見ているうちにパズルのピースが脳内で埋まっていく作りのすごさたるや、これが万一(クリストファー・ノーラン監督はきっとそうはしないと思うけれど)時系列で進んでいたらどんなにか普通の大作(ってなにそれ)になっていたか、いやそんなこと想像しても意味がない、とにかく映像も編集も音響も役者陣も全方位的にすばらしくて圧倒されているうち3時間が過ぎ去ってました。キリアン・マーフィーをはじめオスカー受賞7部門、あらためて納得で、カメオ出演なのかなと思わされたラミ・マレックが確かに出番は多くないものの後半のとあるシーンで場をさらっていったりアインシュタイン役のトム・コンティアインシュタインすぎて(?)感動したり等いろいろお見事。正直細かいところまで全部を把握できたとは思わないのでもっぺん見たら倍くらいおおおおっとなりそうですが初見のこの圧倒されまくり感は一期一会。ちなみに被爆国ニッポンの者としてどう見るかは人それぞれだしあんなことやこんなことをもっと描いてほしかったとかいう感想もあろうけれど歴史上目下唯一原爆を戦争に使った国で作られた映画として当時かかわった人たちそれぞれの立ち位置ががっつり描かれている(たぶん)ことには個人的には深く感じ入るものあり。余談ながら、映画の日のためか平日にしてはおっきな劇場がかなりの入り、しかも普段ならエンドクレジットで帰り始める人が多いのが今回はまあ帰って行った人も数えるほどにはいましたがなんだかいつもと違って最後の最後まで席についていた人が大半だった印象です。

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