海街奇譚

原題「海洋動物」。オンライン試写にて。19年のモスクワ国際映画祭で審査員特別賞を獲った、中国の張弛監督による19年の長編デビュー作。失踪した妻の故郷である小さな島へ、俳優だという中年の男がやってくる。信仰されている仏頭がなくなって以来、海へ出た者が帰って来なくなった島では漁師たちが不安と焦燥にかられていた。カメラをたずさえてさまよい歩く男は、妻の面影を持つ女性と知り合うが…。クリストファー・ドイルあるいは畢贛の作品を思い出させる幻想的な映像美。過去と現在あるいは夢と現実を行き来するような迷宮的ストーリーラインの哀感と不穏さ。個人的には終盤にちょっと説明的でもったいない気がした部分もなくはなかったのですが近年次々に台頭している中国の新世代監督にまた一人、次回作が気になる新たな監督が加わりました。以下余談、監督の名前は日本語の訓読みにすると“張る“と“弛む”で、本名だとしたらなんかユニークです。

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