平原のモーセ

原題「平原上的摩西」。先日TIFFにて。香港映画上映イベントたけなわな今日このごろですが、すでに終了したTIFFで印象に残るものを遅ればせながらいくつか補足します(orするかも)。表題作は同名の原作小説をTVドラマ化した23年の作品で、「鵞鳥湖の夜」の監督・刁亦男が監製(の一人)、「八月」の張大磊が監督、主演が董子健や海青という自分的にはずせない座組だったので432分という長尺にも迷うことなくチケットをゲット。で、途中休憩が入るだろうと思い込んでいたら休憩なしだったのには最初めんくらってしまいましたがドラマなので全6話にそれぞれエンディングとオープニングがありそのツナギの時間にそそくさとトイレに行ったり途中でなるたけ音をたてないようちょこっと食べたりしながらの鑑賞。。幸か不幸かあまり席が埋まってなくて(しかも途中からさらに減っていった^^;)自分の周囲に空席が多かったのでできたけど満席だったらかなりきびしかったな。。それはともかく、作品は実に見応えがあって大満足でした。80年代から90年代の終わり(もしかすると最後のほうは00年代に入っていたかも)にかけての地方を舞台に、ある一家を中心とする人間模様と町で起こった複数の未解決殺人事件とをからめてゆっくりとじっくりと描き出す文学的大河ドラマは「鵞鳥湖の夜」の抑圧感と「八月」のノスタルジーが融合し昇華した感があり、堂々たる風格。町の基幹産業であるタバコ工場の経営がかたむくにつれかつての仲間が分断されていく時代背景は先日見た「ロングショット」に通じるものも。キャストは、さすが董子健だし、さすが海青だし、というかその二人くらいしかきちんと認識してなかったのですが董子健の子供時代を演じた子役も、海青の夫役・董宝石も、刑事役の張晨もみんな良かった。長い作品をここまで集中して(ハラを据えて)見ることはあまりないのでそこは映画祭のありがたいところです。