福田村事件

劇場にて。1923年9月、関東大震災の混乱の中、朝鮮人が井戸に毒を入れた等の流言蜚語(そもそもは日露戦争後の韓国併合以来日本人が朝鮮人を差別・弾圧してきたという自覚があればこその朝鮮人からの仕返しをおそれた過剰反応)が飛び交い、というより国家とマスコミが率先してそれをあおってきた結果の1つとして千葉県の福田村で偏見と恐怖に凝り固まった村人たちが讃岐からの行商人一行(彼らも穢多非人とさげすまれる部落出身者だった)を「鮮人」と決めつけて惨殺した事件をもとに、ドキュメンタリー映画「FAKE」「i-新聞記者ドキュメント-」の森達也監督が万人向け(いい意味でわかりやすい作り)のドラマ映画として製作し震災から100年後の今月1日に公開された、見るべき映画。今どきの情報化社会とは対極の時代(とはいえまだ僅か100年前)の痛ましくいまわしい事件が今またSNSにも実生活にも根を張るネトウヨ差別意識と重なって暗澹となりつつもこの作品がじわじわと広がりを見せていることとキャストの充実の顔ぶれ(とりわけ水道橋博士がすばらしい)に劇中のキーワードの1つであろう「望(のぞみ。またはのぞむ)」も前向きに受けとめました。

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