新生ロシア1991

オンライン試写にて。本年初鑑賞作品は、「国葬」等のセルゲイ・ロズニツァ監督による2015年作品。「国葬」と同様監督自身が撮影したものではなく1991年8月にモスクワで起きた「ソ連8月クーデター」(ペレストロイカをきらう共産党保守派がゴルバチョフを軟禁した軍事クーデター。結果的にはわずか3日で頓挫したがゴルバチョフにかわってエリツィンが台頭しソ連崩壊へ結びつく)に反対の声をあげるレニングラードの人々の映像を編集し、ワンシーンながら若き日のプーチンの姿もはっきりうつりこんでいる驚きのドキュメンタリー。ロシアやソ連の歴史(近現代史も含め)については断片的に点と点レベルで知っているだけでそれを線や面でとらえられていない自分なので、あとからプレス等関連資料を理解の助けにしつつ、かくも膨大な映像が保存されており長い時間を経て1本の作品に編まれたことにあらためて感銘を受けております。とくに目うろこだったのは、当時モスクワで何が起こったのか正確にはわからないまま不安と危機感、あるいは怒りにかられてストやデモに集結したレニングラードの群衆のファシズム反対、共産主義反対、軍政反対の意思表示の強さ。約30年前、ソ連からロシアへの変わり目に、国民全体の総意ではなかったにせよ白日のもとでこれほどストレートかつ知的に民主主義が叫ばれ、自由が求められていたのかと切ないほど胸アツなものがありました。

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