親愛なる同志たちへ

劇場にて。傑作! 37年モスクワ生まれの大御所アンドレイ・コンチャロスキー監督が、フルシチョフ政権下の62年にウクライナにほど近いロシア南西部の街ノボチェルカッスクで賃金引き下げに抗議する大規模なデモ隊を軍とKGBが弾圧し一般市民も含む大勢の死傷者を出した虐殺事件を映画化、第77回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した20年作品。ソ連邦崩壊まで約30年間隠蔽され92年から94年にかけてようやく全容が調査されたという黒歴史に肉迫したパワフルかつ繊細な政治ドラマにして人間ドラマは、当然ながら今のウクライナの惨状も想起させずにはおかず、さらには天安門事件にも思いを致す部分あり。故スターリンを敬愛するエリート共産党員でこの事件を機にイデオロギーへの盲信がぐらついていく主人公リューダを演じた主演女優が圧倒的なすばらしさで、あとからその女優さんが監督夫人ユリヤ・ビソツカヤと知り胸のうちで五体投地しました。今この世界情勢の中で劇場公開とは、偶然なのか運命の皮肉なのか・・。

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