旅するダンボール

昨日試写にて観賞。なにごとにもマニアやコレクターや好事家はいるものですが、ダンボールに魅了されダンボールを求めて国内外をまわりダンボールとともに人生がある人というのはひょっとすると世界でただ一人かもと思わせる、そんなダンボール・アーティスト島津冬樹のダンボール愛に最初おどろき次第に興味をひかれついにはなんだか伝染しそうになってくるドキュメンタリー。旅をするのはある日見つけてすごく気に入ったダンボールの作り手を探しにいく本人でもあれば、各地で作られ用途に応じて様々なところへ送られていくダンボールでもある双方向のトリップ感とか、普通だったら中身を取り出してぺしゃんこにしてリサイクルゴミに出しておしまいのダンボールがこれなら作れそう作ってみたいと思わせるモノづくりに結びつくこととか、いろんな意外性が楽しく、特に印象的だったのは彼が訪ねて行った先で、なんでそんなダンボールなんかに…という今一つ信じられないような顔をしていた人たちのビミョーな感じがダンボール財布を渡された瞬間消しとんで満面の笑みがこぼれる、その理屈抜きの説得力。リサイクルでなくアップサイクルという言葉を自分はこの映画で初めて知ったのですが、もともとはそういう環境問題うんぬん的な意識で始めたわけではなく(多分)とにかくダンボールが好きで好きでやっていたことが縁を引き寄せて社会的・国際的活動にまでリンクしていった無作為的な広がりが愉快で、気持ちが良いのでした。
公式サイトはこちら