暗くなるまでには

恵比寿映像祭(2022 )にて。アピチャッポンと比せられるタイの奇才監督アノーチャ・スウィチャーゴーンポン作品の、遅ればせながら、かもしれない初体験。かつてタイのタマサート大学で起こった軍による学生虐殺事件をモチーフに、当時学生運動に身を投じ運良く生き延びた女性作家とそのインタビュー映像を撮る女性監督の物語かと思いきや彼女たちが別人格で登場したりそれとは関係のなさそうな人気タレントのエピソードに転調したりちょっとアピチャッポン的?とも思いつつやがて前後関係を考えるより不思議な心地よさと一種のものがなさしさに身を任せてふと気づいたら見終わっておりました。プロットらしいプロットがないという意味では難解ともいえるけれど断片の積み重ねのどこか確固たる一貫性のような印象も深くきざまれて、あとあと何度も思い出しては自分の中に浸透してくる予感。。ひとことで言えば、ただごとじゃなかった。見られて良かったです。ちなみに平日昼間でしたが場内はかなりの入りで、ざっと見若い感じの人(あくまで自分と比べてですが)が多く、タイ映画ファン?美術関係?映像関係かな?となんだかそちらも興味をひかれるものがありました。