MEMORIA メモリア

先日試写にて。アピチャッポン・ウィーラセタクンティルダ・スウィントンを主演に初めて地元タイではなくコロンビアで撮った最新作は、どこか巫女的な、なんなら宇宙とか過去や未来との交信ができていそうな資質を感じさせるティルダ・スゥイントンがアピチャッポン世界のナビゲーター的存在としてごく自然にそこに居る、マジカルでスピリチュアルで原初的な肌触りはそのままに、これまでになくわかりやすいというかもしかするとアピチャッポン作品はむずかしいという印象を持っていた人ほど今回はすっと入っていけるのではという気がする(かくいう自分がそうなのかも)、時に不穏さと悲しみをともないつつも永遠性と静かななつかしさが全編を満たすタイトルどおり「記憶」にまつわる重層的で深遠な物語。アジアか否か職業俳優か否かではなくアピチャッポン監督にとってセンサーに触れる「場」と「人」は彼の内なる一点から等距離にあるのだなと、感じ入りました。

公開は来年3月。公式サイトはこれから構築されるもようです。