「ジャネット」「ジャンヌ」

劇場にて。ジャンヌ・ダルクを描いたブリュノ・デュモン監督の二部作で、まさかのミュージカルという程度の前知識で予告編も見たことがなく、だけど多分相当すごいことになってるんだろうなと期待に満ちて2作連続鑑賞。まじですごいことになってましたがまさかのミュージカルなのは前編「ジャネット」のほう。いたいけな少女のころから国難に胸を痛め救国の英雄の出現を祈り続けていたヒロインが「神の声」により自分が国を救うのだと目覚めて出立するまでを、学芸会というか自己流というかとにかく意表をつく歌と踊りでつづっていく(とはいえ振付はフランスの有名なコレオグラファーが担当したとのことで、さすがフランスのアート作品)作りはいろいろ目がテンになりつつも天啓を受けた少女という点で一種の御筆先なのだなと「ジャンヌ・ダルク」の誕生がすうっと腑に落ちてくるものあり。エンディングはおじさんが馬から落ちてジャンヌ(役の女性)が思わず素で笑いかけたのがおかしすぎて自分も笑っているうちに終わってしまいました。。。続く後編はミュージカルではなく異端審判の裁判劇。男社会である教会や軍部からの反発がこうじて投獄された少女ジャンヌが異端者として断罪されるまでの聖職者たちとくりひろげる教義と信仰のぶつかりあいと当時の(今もか?)女性の立場の弱さ、前作で8歳、2年後の後編では10歳でジャンヌ・ダルクを演じた少女のピュアな美しさが圧巻。信仰(とくに一神教)は救いにも排斥の原因にもなるもろ刃のやいばであることよ、とあらためて思ったりも。。ブリュノ・デュモン作品は「プティ・カンカン」2部作しか見ていない自分ですが幸いこれを見ていたので出演者のほとんどが素人というのもさほど違和感もなくそこからくるなにか不意打ちのような時おり演技を超えた演技のような瞬間にぐっとひきこまれる異色の歴史劇。

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