武術の孤児

こと原題「武林孤児」。昨日TIFFにて観賞。時代は90年代後半の中国、人里離れた寄宿制武術学校へ新米の国語教師ルーが赴任してくる。日々武術の訓練にはげむ少年たちの中、学校になじめず脱走を繰り返すいじめられっ子のツイシャンにルーは同情するが、半人前の教師に閉塞的で前時代的な校風を変える力はなく。。 タイトルにある孤児とはまず誰よりもツイシャンのことを意味するのだろうけれど、映画を見終わって気づくのは外の世界へ出ていけない登場人物たちもそれぞれが孤児(的な存在)だということ。ユーモアと切なさがふんわりとただよう青春映画であり少年映画であり教育映画でもある文芸映画で、段落ごとにアイパッチをした武術家が達人をたずねあるいては試合をする寓意的なパートがはさみ込まれたり、起承転結がうっすらとしていたり(でもちゃんとある)、見る人によっては退屈してしまうかもしれないけれど自分にはとても魅力的でした。上映が夜遅かったのでQ&Aはパスして帰ってしまい、あまりこの映画の情報がないので監督や俳優たちの話を聞いてくればよかったとちょっと後悔中。ちなみに映画祭の公式サイトを見ると監督の黄璜は本作で監督デビューとありますが、検索してみるとその前に任達華&余男主演の「西北風雲」という映画を撮っているようなんですが、完成は「西北風雲」の方が後なのかな。