光りの墓

昨日試写にて鑑賞。アピチャッポン・ウィラーセタクンの最新作。もしかすると一種の慣れともいえるかもしれないし、人物関係や物語の骨格がいつになく分かりやすかったからかもしれないけれど、今回初めて「ん?今のシーンの意味は?」と考えることなく心地よくアピチャッポン時間のリズムを享受しつつ、夢や眠り、覚醒、生、死、前世、今生、来世が融解しあってそこにただよっているような安らぎ、懐かしさと切なさにひたりました。アピチャッポン作品は2回3回と見るうちにそれまで閉じていた原始的な感覚に作用するものがあるのか、先日久しぶりに「世紀の光」を試写で見せていただいたときも初めて見たときの「?」な感じはまるでなく、あ〜この感じ好きだなあとあったかな余韻を味わえたのでした。これまでは正直なところ「世界的に評価されている監督だから見ておかねば」という気負いがなきにしもあらずだったのがようやくというべきかマジでただごとでない気がしてきて(遅すぎ?)、来年1月9日〜2月5日に開催される特集上映「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016」で過去作品との二度目の出会いが楽しみな年の瀬であります。