ポトフ 美食家と料理人

原題「The Pot-au-Feu」。カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞作。先の東京国際映画祭ではガラ・セレクション部門で上映され(タイトルは「ポトフ」)、トラン・アン・ユン監督夫妻とブノワ・マジメルのゲスト来日情報にテンションぶち上がりながらも都合により見に行けなかったのを明日の劇場公開に先立ちオンライン試写にて見ることができ感謝です。19世紀末のフランスを舞台に長年のパートナーシップのもと最高の料理を追究してきた上流階級のドダン(ブノワ・マジメル)と住み込み料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)の愛と矜持と次世代への継承の物語は、多幸感とほろにがさが交錯する純粋で芳醇な人間ドラマ。三ツ星シェフ、ピエール・ガニエールが監修をつとめたという劇中料理の数々(調理シーンも含めて)が垂涎必至である上に、かつて実際にパートナーだった(というのを自分は遅ればせながら今回初めて知ったのですが)主演の二人が胸にしみるすばらしさ。現代の有名なフレンチのシェフは男性が圧倒的多数な印象ですがひとむかし前のお屋敷の住み込み料理人は女性が主だったのか〜、とかレタス(たぶん)をまるごと煮てつけあわせにするのか〜、とか細かいところでも文化的・習俗的に興味深い描写が満載でした。

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