熊は、いない

オンライン試写にて。2010年に映画撮影と出国を禁じられたイランの名匠ジャファル・パナヒ監督自身が主人公として登場し、トルコから密出国しようとする夫婦のドキュメンタリーの製作トラブルと監督がトルコ国境近くの小さな村でまき込まれる事件との2つが同時並行する、当初はどこか牧歌的だったのがある時点から加速度的に不穏さと沈鬱さを増して重くのしかかってくる人間ドラマ。本日から公開の「君は行く先を知らない」(21)のパナー・パナヒ監督の父ジャファル・パナヒ監督による、昨年のフィルメックスでは特別招待作品(タイトルは「熊は、いない/ノー・ベアーズ」)として上映された22年作品。こちらの一般公開は9月15日で、両作の相次いでの公開は偶然かもしれないけれどそれ以上に必然と思えるタイミング。本作を撮ったのちジャファル・パナヒ監督は逮捕・収監され、同22年のヴェネチア映画祭は本作に審査員特別賞を授与。作品それ自体への高い評価とともに本国での弾圧が強まる中で“闘う監督”への連帯が国際的に示された形となりました。

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