戦火のランナー

昨日オンライン試写にて。元英国領だったスーダンは北部はイスラム教徒が多く南部は非イスラム民族が多かったことから歴史的に対立の火種をかかえ、独立後2度の大きな内戦があった。という基本的なところからしてこの映画で初めて知った自分ですが、本作はその1度目の戦火の中、このままでは死んでしまうと危惧した両親が8歳の末っ子グオル・マリアルに村から逃げるよう指示し、たった一人で生きていくこととなった彼が放浪の果てに難民としてアメリへ渡りマラソン選手としてオリンピック出場を果たすまで、その後の故国への凱旋帰国と新たな苦難を中心につづるドキュメンタリー。インド映画「ミルカ」とも重なる、生き延びるために走り、さいわいにも生き延びて、やがて走ることが自己実現に結びついた少年の、感動という言葉を使うにはあまりに過酷であまりに偶然な数奇な運命に、ただただ驚き。はからずもコロナ禍の現在、「がんばってきた選手のためにも五輪開催を」的な気持ちに自分は正直なれないですが、そのこととは別に、スーダンについて知り、IOCの内幕(いろんな意味で考えされられるところあり)が垣間見えるという意味でこの映画を見る意味は大きいと思います。

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