痛ましき謎への子守唄

TIFFにて鑑賞。ラヴ・ディアス監督による489分の大長編で、昨年の「昔のはじまり」5時間ノンストップ鑑賞が意外に(も)大丈夫だったことから今回さらなる長尺にのぞんでみました。ことさら長い映画が好きってわけじゃないし、こういう機会に気合を入れて見なければ一生見ないだろうなと思って見たというのが正直なところではありますが、途中休憩が1回、しかも1時間あったので実質的には4時間の映画を2本見たのに近く、幸い居眠りすることもなくコンプリート。さすがに「長く感じなかった」というほど集中力が持続した自信はなく我ながらそれなりに耐性がついたなあと感じる長さではありましたが、300年にわたりスペインに支配されたフィリピンの苦難の歴史と祖国愛、人間のカルマや神話的要素が融合したずっしりと重いテーマとパワフルなモノクロの映像はすばらしく魅力的でした。主人公の1人で、悩める詩人イサガミを演じた俳優さんの顔に見覚えがあり、もしかしてエリック・マッティ監督の「汝の父を敬え」の主役かな?と思ったらビンゴでちょっと嬉しかったり。名前はジョン・リョイド・クルス。覚えておかねば。