ターナー、光に愛を求めて

試写にて鑑賞。
自分がターナーという画家の名前を知ったのはご存じ漱石先生の「坊ちゃん」で、そういう人はけっこういるんじゃないかと思うんですが、覚えやすい名前だったこともあって、以来ターナーの絵とかいうとなんとなく気になり、ロンドンのナショナルギャラリーでホンモノを見られたけどテート・ギャラリーにはまだ行けてないのがなんとも残念だったり、とまあ個人的な想いがそれほど強いわけではないし美術のことは門外漢ながらもターナーの筆致はかなり好きなのでありますが、どういう人だったのかというのはまったく知りませんでした。
そんな画家の後半生を描いたのがマイク・リー監督による表題作。実生活はナゾが多かったというターナーの、実際のエピソードをもとにふくらませた物語は魅力的で19世紀英国の画壇の人間関係なども興味深く、150分の長尺ながら長く感じませんでした。なんといってもターナー役のティモシー・スポールが超がつくほど強烈で、怪優の名演というか名優の怪演というか怪優の怪演というか名優の名演というか(どれでもいいけど)とにかく今後はターナーと聞いたら絵よりまずティモシー・スポールの顔が想い浮かぶことまちがいなし。若いころのターナーの自画像なんかを見るとなかなかの二枚目だった気がするんですが映画のターナーはでっぷり肥えてむしろブ男で、とてもモテそうには見えないようでいて女に困ったことがなく(というか妙に女性を惹きつける礼儀正しさと教養と愛嬌と才能がある)、そこにはまぎれもなき天才の姿が現出されておりました。
公式サイトはこちら