素晴らしき大世界

Sintok映画祭にて観賞。
このところ集中的にいろいろな味わいと肌触りのシンガポール映画を見ていて、SB(ショウ・ブラザース)マークが目に入ったり葛蘭(グレース・チャン)の「我愛恰恰」が流れたり香港のマンガ雑誌が出てきたりしてしばしば香港モノ好き的にもかなりツボなんですが、表題作がまたのっけから薛家燕が登場し劇中では「玫瑰玫瑰我愛你」や「說不出的快活(ジャジャンボ)」が歌われ、さすがSB発祥の地だわーみたいな(葛蘭はSBでなくキャセイ系スターですけどともあれ共通項として香港ということで)何か勝手に自分のことのようななつかしさが満載。一方で往年のアミューズメントパークを回顧するいくつかのしっとりほのぼのほろり系のエピソードの中で日本軍がシンガポールを侵攻した日の出来事を描くパートは、中国や韓国や香港の映画やドラマにおけるそういうシチュエーションには良くも悪くも一種“慣れっこ”になってしまっているのに比べるとそれほどには“慣れっこ”になってないぶんうなだれてしまうような胸中ざわつくものがありました。が、それはそれとして「あっこの顔には見覚えが!」というキャストが何人もいて(現地の人気俳優がどっさり出ているそう。まだ名前の分かる人が多くないのが残念)、福建語や広東語や海南語や潮州語や客家語上海語や北京語が飛び交ってときに混乱を生じる楽しさもざっつシンガポールな愛すべき作品でした。