メンゲレと私

原題「A BOY`S LIFE」。オンライン試写にて。「ゲッベルスと私」(18)「ユダヤ人の私」(21)に続く、クリスティアン・クレーネス&フロリアン・ヴァイゲンザマー監督によるホロコースト証言シリーズ3作目にして最終作となるドキュメンタリー。本作の登場人物、リトアニア生まれのダニエル・ハノッホは9歳でユダヤ人ゲットーに送られたのちアウシュビッツを含む5箇所の強制収容所を経て生き延びた数少ないチャイルド・サバイバーの一人で、12歳で解放された後にパレスチナ入国を経て現在はテルアビブ在住。ホロコースト語り部として活動し、撮影当時88歳とは思えないほどしっかりした冷静な語り口とその語られる内容のすさまじさに言葉を失う、まさに生き証人。本作の日本公開に合わせて来日も決まっているようで頭の下がる思いです。タイトルのメンゲレは自分は不勉強にして今回遅ればせながら認識した、ガス室送りにする者とそうでない者とを選別する役割を一手に担って死の天使と恐れられ、残忍かつ異常な人体実験を繰り返したナチス親衛隊の医師ヨーゼフ・メンゲレのことで、ダニエル少年はメンゲレから気に入られたらしく死の選別を受けずにすんだことがサバイブにつながる要因の1つに。といっても本作ではとくにメンゲレとの関わりがクローズアップされているわけではなく貴重な記録映像とともに人類史の蛮行中の蛮行であるホロコースト追体験せしめる証言となっています。(ちなみにメンゲレは戦後逃亡してナチスハンターにもつかまらなかったそうで、許しがたし…)

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