耳をかたむけて

原題「不虚此行」。TIFFにて。脚本家の道をあきらめて葬儀場の弔文ライターをしている男が、見知らぬ故人たちの弔文を書くため関係者の話を聞く中でさまざまな人生に触れていく、北京電影学院で教鞭をとる女性監督・劉伽茵の新作。インディーズ系というかアート系というか、正直地味だけれど自分としては胡歌と呉磊が共演というだけでそもそも必見だったし(あのうるわしい梅長蘇とかわいかった飛流が…と時々脳内がバグってしまったのは「琅琊榜」ファンとしてはやむを得ないところ)それをさしひいてもかなり好きな作品で、劇中で描かれるような弔文を書く仕事というのがあるのか、しかもかなりの手間をかけて調べたり準備したりするのかと軽いカルチャーショックはあったものの、そのリアリティよりもっと主人公の心の旅路にそれこそ邦題のように耳をあるいは心をかたむけながらじっくりと味わいました。ちなみに原題は「甲斐のあることだった」「無駄にはならない」という感じか。